不動産売買の契約金とは？まずは基本の考え方を理解しよう
不動産を購入するときに、最初に大きなお金が動くのが「契約金」です。なんとなく「とりあえず支払うお金」というイメージでとらえている方も多いですが、契約金にはしっかりと役割があり、売買契約全体の中で重要な意味を持っています。まずは、契約金がどんなお金なのか、基本から整理しておきましょう。
一般的に、不動産売買の場面で「契約金」と呼ばれているのは、売買契約を結ぶときに支払う「手付金」のことを指すケースが多いです。将来の売買代金の一部を先に支払うことで、「この物件をこの条件で売買します」という当事者同士の約束を形にする役割があります。
契約金（手付金）の主な役割
契約金には、いくつかの大事な役割があります。代表的なものを挙げると、次のようなポイントです。
・売主に対して「本気度」を示す意味
・売買代金の一部前払いとしての意味
・契約をキャンセルする際のペナルティの基準
このように、契約金は単なる前払いではなく、売買契約を安定させるための大事なお金です。
契約金はいくらくらいが目安？
契約金の金額は、物件価格や地域の慣習、当事者同士の話し合いによって決まります。目安としては、売買代金の約5〜10％程度と言われることが多いですが、必ずしも一律ではありません。
資金計画を立てるときは、「頭金」「諸費用」とあわせて、契約金としてすぐに用意しておくべき金額も計算しておくと安心です。
契約金を支払うタイミングと流れを確認しよう
契約金がどんなお金なのかイメージできたら、次は「いつ支払うのか」「どんな流れで支払いが行われるのか」を把握しておきましょう。具体的なタイミングを知っておくと、無理のない資金準備ができます。
売買契約当日に支払うのが一般的
多くの場合、契約金は売買契約を結ぶ当日に支払います。重要事項説明で物件の内容やリスクについて説明を受け、そのうえで契約書の読み合わせを行い、署名・押印と同時に契約金を支払う流れです。
支払い方法は、銀行振込や振込控えの提示、もしくは指定された方法に沿って行います。当日バタバタしないよう、事前に金額と支払い方法を不動産会社に確認しておくと安心です。
契約金支払いまでに準備しておきたいこと
契約金をスムーズに支払うためには、事前の準備が欠かせません。具体的には、次のような点をチェックしておきましょう。
・契約金の正確な金額と振込先
・当日の持ち物（印鑑、本人確認書類など）の確認
・資金を移動しておくための銀行窓口やATMの営業時間
こうした準備を前もって済ませておくことで、契約当日に慌てずに済みます。
契約金と解約・トラブル時の取り扱い
契約金は「払って終わり」ではなく、その後の状況によって扱いが変わるお金です。特に、契約を解約したい場合やトラブルが起きた場合にどうなるのかは、しっかり理解しておきたいポイントです。
買主側の都合で解約する場合
買主の事情で契約をやめたい場合、一般的には「手付解除」といって、支払った契約金を放棄することで契約を解除できるケースがあります。
たとえば、「急に転勤が決まった」「資金計画を見直したい」などの理由で購入を取りやめたいとき、手付解除が認められていれば、契約金を戻さないことを条件に契約をなかったことにできます。ただし、解除が認められる期限や条件は契約書に定められていますので、必ず内容を確認しておきましょう。
売主側の都合で解約する場合
一方で、売主側の都合で契約を解約したい場合は、買主から受け取った契約金の倍額を買主に支払うことで解除する「手付倍返し」が定められていることが多いです。
たとえば、もっと高い価格で買ってくれる人が現れたからといって、簡単に契約をなかったことにできないよう、契約金には一定の抑止力があります。こちらも、具体的な条件は契約書面でしっかり確認することが大切です。
契約金を用意するときの資金計画と注意点
最後に、契約金を準備するときに意識しておきたい資金計画のポイントと、よくある注意点を整理しておきましょう。ここを押さえておくと、不動産購入後の家計にも余裕を持たせやすくなります。
頭金・諸費用とあわせてトータルで考える
不動産購入時には、契約金だけでなく、頭金や登記費用、ローン関連費用、引っ越し費用など、さまざまなお金が必要になります。契約金の支払いに全力を注いでしまうと、その後の支払いで資金不足になってしまうこともあります。
そのため、「物件価格の何％を自己資金として用意するか」「どのタイミングでどれだけのお金が出ていくのか」を一覧にして、トータルで資金計画を立てておくことが大切です。
契約金の原資と支払い方法を早めに確認する
契約金をどの口座から支払うのか、親からの贈与や自分の貯蓄など、原資をどのように用意するのかも早めに整理しておきましょう。大きな金額を一度に動かす場合、銀行の手続きに時間がかかることもあります。
また、贈与を受ける場合には税金の扱いが関係してくることもあるため、心配な場合は税理士や専門家に相談するのも一つの方法です。無理のない範囲で契約金を設定し、将来の返済や生活費に支障が出ないようにすることが、安心して不動産購入を進めるポイントです。
最後に、契約金について不安な点や分からない部分があれば、一人で抱え込まずに不動産会社の担当者や金融機関に相談してみてください。同じような相談をたくさん受けているプロであれば、過去の事例も踏まえながら、あなたの状況に合ったアドバイスをしてくれます。仕組みとリスクを理解したうえで契約金を準備できれば、不動産売買の一歩目を安心して踏み出せるはずです。
また、契約金の金額や支払い条件は、すべて契約書に明記されています。署名・押印をする前に、「いくら支払うのか」「どのタイミングで精算されるのか」「解約時にどう扱われるのか」を必ず確認し、気になる部分にはチェックを入れてメモを残しておきましょう。後から見返せる記録を残しておくことも、トラブル予防に役立ちます。